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はてなブックマーク - チェスプロブレム入門 1
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チェスプロブレム入門 1WCCC2012Kobe

世界最古のチェス・プロブレムは、紀元840年頃の、次の作品だとされています。

ここでMate in 3とは、「3手で黒のキングをメイトにせよ」という指定です。これは、さらにくわしく言えば、「白から指し始めて、白の3手目で黒のキングをメイトにせよ」ということで、詰将棋式に数えれば5手詰に等しくなります。ただし、詰将棋のように、「必ず王手をかける」という制約はありません。

問題図の上に付いている情報は、作者名、そして発表場所と発表年を表しています。

 

figure1

 

正解:1.Sh5+ Rxh5 2.Rxg6+ Kxg6 3.Re6≠

(なお、チェス・プロブレムでは、ナイトをNではなくSと表記するのが習わしになっています。さらに、通例では、チェックは+、チェックメイトは≠で表記します。)

 

これはフィレンツェの国立図書館が所蔵している写本に見られる図です。

ただ、ここで注意していただきたいのは、当時にはまだ現在のようなチェス・プロブレムにおけるオーソドックス(すなわち、何手でメイトにせよという形式)がありませんでした。ですから、問題そのものは「白先で白勝ちにせよ」という実戦の終盤問題、つまりエンドゲームと等しくなっています。

この図だと、白のキングにはほぼ将棋で言うところの必至がかかっています。必然、白勝ちにするためにはチェックをかけつづけて、最後にはチェックメイトにするしかありません。つまり、チェス・プロブレムには最初から、「白は必ずチェックをかけなくてはいけない」という、詰将棋的な王手連続の規則というものはありませんでした。この問題のように、結果としてチェックの連続になっているのは、チェックをかけないととたんに可能性が増大して、作者の読みの限界からはみだしてしまうからです。

このような、言ってみれば詰将棋に近い路線は、この最初の作品が誕生してから、なんと約1000年も続くことになります。そして、そのあいだ、チェス・プロブレムには進歩らしい進歩が見られませんでした。

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