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はてなブックマーク - チェスプロブレム入門 2
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チェスプロブレム入門 2WCCC2012Kobe

チェス・プロブレムの揺籃期で、現在のチェス・プロブレムに比較的近いと思われる作品は、13世紀に作られたとされる次のようなものです。

 

 

正解は1.Rhg7!(h7にいるRをg7に動かす、という意味)です。

この手は、放っておくと次にメイトにするよ、という手ではありません。しかし、黒は手番が渡されたので、何か指さないといけません。

キングを動かす手は、

1…Kc8 2.Ra8≠

1…Ke8 2.Rg8≠

そしてナイトを動かす手は

1…Sb7 2.Ra8≠

1…Sf7 2.Rg8≠

です。この2つめの変化に注目してください。たとえば白が初手に1.Kc2?とでも指して手待ちをすれば、1…Sf7!とされて詰まなくなるのです(2.Rh8+だとSxh8!と取られてしまいます)。

ナイトを他の場所に移動しても、白の次の手で詰むことは各自ご確認ください。

 

この問題では、明らかに第1回で紹介した最古のプロブレムとは違って、「白勝ち」という終盤問題ではありません。しかも、「2手でメイトにする」という制約によって初手の正解(キーと呼びます)が1つに定まっており、さらに黒はチェス用語で言うところのzugzwang(ツークツワンク、すなわちそのままならメイトはないが、手番が与えられているために不利な手を指すことを強制され、そのせいでチェックメイトにされるという状況)になっている点など、現代にも通用する要素を持っています。

また、この問題のキーは、チェックをかける手ではないことに注意しておきましょう。「チェックをかけつづけなければ仕方がない」という作り方は、可能な手の数を極端にせばめてしまうため、チェス・プロブレムが発展する可能性の足かせになっていました。チェックをかける手よりも、むしろチェックをかけない静かな手の方が、手として優れているという価値観が確立したのは、実は19世紀というずっと後になってからのことなのです。

チェス・プロブレムは詰将棋と比べて、はるかに手数が短く設定されています。たとえばMate in 2なら、詰将棋式に換算するとわずか3手詰なのですが、それでは作品の奥行きという点で詰将棋の3手詰にほぼ等しいのかと言えば、まったくそうではありません。それはよくある誤解でしかありません。詰将棋で言えば15手詰くらいの奥行き、というのがわたしの実感です。どうしてそうなるのかと言えば、「チェック(=王手)をかけなくていい」というこの自由度のために、解答者が考えなくてはならない可能な手の数が飛躍的に増大しているからです。

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